600万枚のビットコイン(BTC)は永遠に消失したのか ?
Huobi Japanのツイッター経由で、600万枚のビットコイン(BTC)が永久的に消失したとする衝撃的な情報が流れました。600万枚のビットコイン(BTC)は永遠に消失したのか を見ていきましょう。
ビットコインは消えない
ビットコインの発行可能総数は、約2,100万枚です。
600万枚は、ビットコイン全体の約28.5%に相当します。
消失することで、どんな影響があるのか、不安に思う人が多いと思います。
結論を先に述べると、ビットコインは消えません。ただし、アクセスを失うことはあります。
では、何をもってして『永久に消えた』と言っているのでしょうか。
ビットコイン紛失の定義:2つの類型
ビットコインは消えませんが、ただし、『秘密鍵を紛失することによって、永久にアクセスできなくなること』があります。
例えば、日本という国が存在し続ける限り、日本円はありつづけます。
けど、皆さんが、財布をなくしたらお金を紛失しますよね?
これと似ています。実際には、なくなっていません。
基本、ブロックチェーン上では、取引は改ざんができません。一度記録された取引も消せません。だから、できることとすれば分岐(フォーク)だけです。(※51%攻撃などは例外事項なのでここでは考慮していません。)
では、永久に消えたとはなんのことを言っているのでしょうか?
ここでは、消失とは、主に、以下の2点を指しています。
- ビットコイン消失の2つの定義
- 1. ウォレットへの秘密鍵をなくしアクセスできない状態
- 2. 2014年以前からBTCを保有しているが、14年の年始から一度もBTCが使用されていないウォレット
では、ビットコインが600万枚紛失の内訳を見ていきましょう。
600万枚のビットコイン(BTC)は永遠に消失したのか ?
Huobiが言うビットコイン600万枚の消失は、実際には、400万枚の紛失と200万枚の盗難にわかれます。
上の図は、世界的経済誌FORTUNE誌にChainanalysis社が寄稿した昨年11月時点での紛失(400万枚)したビットコインの推定枚数のグラフです。
わかりやすいように、日本語に翻訳しています。
この分析が400万枚の消失の根拠として使われています。
私の側で以下のように枚数と割合だけを抜き取りました。
ビットコイン400万枚の消失の内訳、600万枚は大袈裟
400万枚とありますが実際には、約380万枚です。ただし、これは最大値での推定で、実際には、230万枚~380万枚の範囲です。
したがい、600万枚が永久に消失は大袈裟な表現です。200万枚の盗難については、根拠となる情報源の確認ができませんでした。
次に、ビットコインの価格との関係を少しみておきましょう。
ビットコインの価格に影響するのか?
上で見てきたように紛失したビットコインは約400万枚あります。
ですが、紛失したコインはビットコインの時価総額を算出される際に含まれています。
したがい、Chainanalysisy社は、分析の中で、実際には、ビットコインの時価総額は13~22%、最大で35%、削減されうると述べています。
実際には、一切流通していないビットコインの枚数を時価総額に含めているからです。では、流通しているビットコインの内訳をみてみましょう。
上の図は、ビットコインの供給の比率を以下のように分類したグラフです。
・赤:売買投機目的、オレンジ:決済取引目的、紫:投資目的、ネイビー:紛失した投資用コイン、水色:紛失したコイン及びマイニングされていないコイン
これをみればわかるように、実際には、ネイビーと水色の非流通(紛失・マイニングされていない)のビットコインを考慮にいれて取引がされており、価格が形成されています。
ただ、上の定義で見てきたように、『紛失』は推測に過ぎず、誰かが紛失した、秘密鍵をなくしたと公にしているわけではありません。
そう考えると、ビットコインの実際の価格・供給量については、曖昧さが多く残ることになります。
ある日突然、秘密鍵を見つけた初期のビットコイナーが数十万枚単位で売りをしかけてくることもありえるからです。
※初期のビットコイナーは、平均保有量が多いため。
テザーの問題もそうですが、ビットコインの価格には疑問が多く残ります。
私は、ビットコインを否定しませんし、コモディティとして取引され続けるとは考えています。
ですが、投資として考える際に、リスク分散のために、他の通貨として、リップル(XRP)などを加えることも一案なのではないかと思います。
本文の最後に、もう少し詳しい数字の根拠を加えていますので、興味のある方は、更に下まで読み進めてください。
ビットコインの消失の定義、その内訳は
上で見たように、紛失の定義は、ビットコインのウォレットの履歴と秘密鍵の紛失です。
230万枚の紛失の内訳は、
①2014年以前から存在しているものの、それ以後、活動がないウォレットに含まれるビットコインの枚数が約210万枚。
②秘密鍵を紛失したとされるビットコイン保有数が20万枚
この①と②の合計で、230万枚が紛失(最低ライン)として計算されています。
ここからわかるように、①の例については、ただ単に活動をしていないだけで、本当に紛失したのか、単に何もする気がないのかはわかりません。
もちろん、約4年間もの間、一切の活動をしていません。
当時は、ビットコインの価格も低かったため、既にその大半が紛失されている可能性はあります。
ビットコイン200万枚の盗難の根拠は見いだせず
次に、200万枚は盗難されたとされていますので、その内訳を見ましょう。
しかし、200万枚の数字がどのような根拠で算出されたかわかりませんでした。
Huobiが提供したCNNの記事、またその先のFORTUNEの記事、Chananalysis社の最新の分析を読んでも、見出すことができません。
カンファレンスでは、確かに、200万枚の盗難とある
An estimated 4m BTC lost, 2m BTC stolen. @lopp at #BuildingOnBitcoin pic.twitter.com/xsXayfKiaP
— Willy Woo [no giveaways] (@woonomic) 2018年7月4日
200万枚は盗難されたとされたと記載がありますが、詳細は不明でした。
盗難とあるので、過去のハッキングを全て合計すると200万枚になるのかもしれませんが、内訳や計算方法が一切不明です。
ですので、盗難の分については、確かめることができません。
結論として600万枚の永久に消失は大袈裟であること。紛失分は200万枚~400万枚の幅があること。
また、紛失とはいうが、実際には、1.秘密鍵をなくしたことによるセルフゴックス(20万枚~)、2.2014年以前から存在しているウォレットでそれ以後、活動がないウォレット の2つの合計なので、本当に『消失した』と断定することは、困難です。
できるのは、紛失したと思われる可能性の高い枚数が、200万枚~600万枚あるということです。
